2019年12月19日
【ヨセフ・ブルーノ・ダシオン校長】
クリスマスがまた巡ってきます。
12月に入ってから校内の馬小屋が設置され、
静かに行き交うすべての人たちを見守っています。
馬小屋は英語でThe Stable ~ be able to stand、自立できる~を意味します。
神の天使たちが見守るなかで
極貧の中で生まれたキリスト、
それを喜ぶ貧しき両親や羊飼いたちをみて学ぼうと思います。
自信を持ちましょう、
生まれた国や場所が違っても、
家柄や運命の道が違っても、
あなたもわたしも神さまから生まれてきた
その事実だけは疑ってはならないことです。
立ち上がりましょう、頭をあげましょう。
誇りをもって生きましょう、
後ろ向きの思考は自信のなさの証、
自分についてあきらめる人のすることだ。
いくら生活環境が悪くても、
それを不運とみなして嘆く、
そのマイナスだけに心が奪われないようにつとめましょう。
神が、母の胎内の時からわれらのなかに備えてくださった勇気で
運命のいたずらやマイナスからも一線の光を見出しましょう。
アコヤ貝(真珠貝)も、入って来る異物を
静かに受け止め、真珠に造りかえるのです。
われらは人間であり、アコヤ貝より優れているではないでしょうか。
幼子イエスと両親は、
自分の地元にでさえ、冷たくされ、人間の住む宿には彼らの居場所がありませんでした。
冷たくされたあの体験からキリストは学んだのです。
「疲れた者、重荷を負う者、わたしの所に来なさい。休ませてあげよう」
また、「こどもたちを妨げてはならない、わたしのところにこさせなさい」と
生涯寛容さを貫きました。
キリストには復讐や倍返しなどの精神はありません。
馬小屋のキリストをみて学びましょう。
断れた苦しみと孤独感から、温かく人を受け入れる心を育てましょう。
蔑まれた痛みから、人や生命あるすべてのものに畏敬を払いましょう。
「バカ」と言われたら、笑顔で人の優れていることを認めましょう。
「お前は人間のクズだ」と言われたら、クズなりに人のために生きましょう。
「お前は落ちこぼれだ」とけなされても、
自分の尊厳を勇敢に保ち、溢れるほどの幸せを心に蓄えましょう。
馬小屋は、
自分の生命(人生)を無駄にしないようにと諭してくれるのです。
生命は聖なる宝
生まれた環境、家柄、学歴、成績、地位や名誉より遥かに尊い、
金銀に頼った贅沢な暮しや派手な衣装に勝り、
貧しさや病、または死でさえにも支配されていません。
われわれは神が考えているわれわれ自身になるのです。
神が与えてくれたその生命を咲かせるのです。
他の人間が考えているようなわれわれではなく、
親でも、兄弟姉妹でも、友だちでもないのです。
どんな家庭に生まれたとか、
どんな親に育てられたとか、
どんな先生に教わったとか、
暮らしが豊かなのか、貧乏なのか
それらのことってわれらが、われらになるための第一の条件ではありません。
一番たいせつなことは、
われらに宿っている生命(人生)を如何に生きるかであると思います。
さあ、立ちあがりましょう、
顔をあげましょう、
かけがえのない自分を尊び
二人といない自分をたいせつにしましょう。
クリスマス、おめでとうございます!
(ヨセフ・ブルーノ・ダシオン、2019・12・25)