2007年12月10日
十一月下旬、南山町の近くで友人とランチを一緒にする機会がありました。
隼人池の横で落ち合い、美しい紅葉の中をレストランに向かいました。南山学園の校舎の横を歩きながら、思わず学生時代の思い出話をしていました。南山生になれたという喜びと少しの不安を持って、南山教会での入学式を迎えたこと、毎日遅刻寸前で階段を駆け上がっていたこと(その階段は新築された女子部の校舎にはありませんが)、登校時にベレー帽をかぶっていなくて先生に叱られたこと、毎朝屋上で歌っていた聖歌の声が聖霊病院にまで聞こえていたこと、などなど。札幌から来て間もないという友人は、「名古屋にこんなに文化の香りの高い、落ち着いた場所があることを初めて知った」と喜んでくれて、私も鼻が高い思いでした。
南山で過ごした六年間があったからこその、今の私の仕事があるのだと思っています。南山で受けた英語教育に感謝をしています。中部地域を中心とした日本の文化や歴史、人々の生活などを多くの人に伝えていきたいと、英文情報誌「アベニューズ」を編集・発行して、早くも20年が経過しました。アベニューズに記事を執筆してくれている外国人記者たち、取材で話を伺ったアーティストや職人さんたちなど、多くの人たちに出会いました。また、外国の人たちに紹介するという視点で名古屋を見てみるとたくさんの文化的、歴史的に素晴らしい場所があることを知りました。振り返ってみると、アベニューズという小さな雑誌に私自身が育てられたように思います。
愛知万博の折には愛知県内19市町の人々と「一市町村一国フレンドシップ記録映画製作事業」を立ち上げ、私は、プロデューサーを務めました。21カ国から招聘した映画監督とカメラマンは、三週間の滞在中に各市町での交流を記録しました。映像の中で見たそれぞれの地域はとても新鮮なものに見えました。
よい仲間たちとも出会い、外国人に愛知県の観光地などを英語でガイドするボランティア団体「NPO法人愛知善意ガイドネットワーク」を1999年に設立いたしました。会員は熱田神宮や大須界隈、名古屋城、有松などについて熱心に勉強をしてガイドを行い、交流の輪を広げています。
この地域の若い人たちにも、自分たちの言葉で自分の思いや地域の魅力を発信してもらいたいと、数年前から大学で教鞭をとっています。
南山教会は、クリスマスが近づいて、夜にはイルミネーションが灯っています。桜や八重桜、新緑、紅葉など、四季折々の姿を見せてくれる南山界隈をわたしは、自宅に帰る折には遠回りでもよく通ることにしています。現在、私は南山大学の近くに住んでおります。ボランティアガイドの活動などにご関心のある方は是非ご連絡下さい。どうぞ、今後ともよろしくお願いします。
著者プロフィール
(G19) 佐藤 久美(旧姓:多田 久美子)
南山大学外国語学部英米科卒業。名古屋大学大学院修士課程修了。
英文情報誌「アベニューズ」代表。
愛知淑徳大学、金城学院大学等の非常勤講師。
NPO法人「愛知善意ガイドネットワーク」副理事長。
NPO法人「愛・地球博ボランティアセンター」理事。
NPO法人「知多から世界へ」理事。
NSK映像倶楽部 プロデューサー。