2008年5月14日
GW直前、メルマガのコラム執筆依頼をいただき驚きました。亡父の営んできたテーラー業から転身して早15年、小さな学習塾の経営者に語れる材料は見当たりませんが、ペンを進めてみます。
塾生の対象は小学・中学生で、一部、延長して高校生が数名在籍しています。
パソコンがひとり一台ずつあって、学習項目の説明はPCで履修します。ワークはそのつど、指示した頁を解き、講師が対面でミス解説します。基本的に理解が及んでいないと判断されたら、PCで解説を再度確認します。
デジタル思考の昨今の子どもたちには、寺子屋塾や一斉板書指導は不向きになりつつあります。
ビデオ画像で講師の指導解説を教壇映像で見せる塾もあるようですが、それでは寺子屋・板書が二次元に置き換えられているにすぎないと思っています。直接、PCを操作できなければ次世代個別学習へと繋がっていかないと考えています。
インターネットによるeラーニングも、PCの向こう側に人が見えない、という冷たさがあります。
私は、PCもノートや鉛筆のように道具として利用してもらい、生徒との人間的関係を維持していきたいと思っているのです。
それにしても、公立と私立の進度状況がますますかけ離れ、数学や英語では私立中学2年生で公立高校1年生レベルまで進められています。私立中学生で早々ギブアップしてしまった生徒が来塾してきた場合、復習(後付け)するにも多くの時間を要します。
例として申し上げるなら、中2で偏差値45のA君を公立へ転校させ、1年間で偏差値61に上昇させることに成功しました。つまり公立中3まで修了していましたから、結果として1年間で総復習ができたということです。そのまま私立にいたら中3で高2まで進んでしまうという理屈です。偏差値58のB君は、そのまま私立中3に進みましたが苦戦し続け、毎日毎日、確認テスト漬けで下校が夜に及びました。学力横ばいが精一杯の状態です。
どんどん進度を早めることで、高校3年で難関大学受験を目指すわけですが、当学年指導の公立高校3年生も同じ土俵に立って受験します。その差が本当に生じているのか疑わしく感じられます。むしろ進度に受け身になっている中学生徒に無理強いしていて、基本軽視が私立にあるのではないか、と思えるのです。成績上位者しか見えていない、のが私立校なのかな、と疑問に思うのです。
いつから、こうした先取り履修が顕著になってきたのでしょうか。私のころもそうだったのでしょうか。
いずれにしても、文科省の指導要領が子どもたちを楽にさせたという結論から、私立校は独自の進度を設定しているのでしょう。ところが、子どもたちは決して楽になったと思っていないという事実が潜んでいて、進度先行に窮していることにおとなたちは気づいていないと言わざるをえません。
こんな疑問を抱きながら、今日も、私は生徒たちと向き合っていくのです。
<プロフィール>
近藤宏行(S23)
新個別学習塾●つるまい教室代表