カトリック東京大司教区第9代 菊地功大司教(S29)「コロナ共生時代のOne Team, One Nanzan」を振り返る – Nanzan Tokiwakai Web
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2024年1月12日

カトリック東京大司教区第9代 菊地功大司教(S29)「コロナ共生時代のOne Team, One Nanzan」を振り返る

 新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行し、やや落ち着きを見せ始めたものの、未だに油断はできません。2024年が始まり、新たな年を迎えた今こそ、その当時を振り返り、気持ちを引き締めて困難を乗り切りましょう。

 カトリック東京大司教区第9代大司教である菊地功大司教(S29)より2020年10月に発行された常盤会会報の特集「コロナ共生時代のOne Team, One Nanzan」にご寄稿いただいており、改めてその内容をご紹介いたします。
 

 

 
カトリック東京大司教区第9代大司教
菊地功大司教(S29)
 
 わたしたちはいま、歴史に残る事態のただ中におります。人類のいのちの危機は、ほんの小さな存在であるウイルスによってもたらされました。
 自粛期間中には、これまで必要不可欠と考えられてきたことが、実はそれほど大切でもなかったことを思い知らされました。日曜日に集まることが当たり前だった教会も、オンラインでの礼拝やミサに切り替わり、いまでも集まることに制限のあるまま、活動の見直しを迫られています。さらには、充分な社会的距離をとるなどの新しい生活様式も求められています。社会は、巨大な力によってではなく、小さな力によって、大きく変革させられました。弱々しい存在が、社会全体の価値観を転換させようとしています。
 「私は世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」(マタイ福音28章20節)と弟子たちに約束された復活の主イエスは、新しいいのちに生きるようにと、常にわたしたちを招いておられます。わたしたちの尊厳あるいのちは、まさしくその主ご自身からの愛を込めた贈り物です。だからこそ、どんなときにあっても見捨てられることはないと確信しています。
 わたしたちは今、歴史に残るであろう大きな変革の時を歩んでいます。感染拡大以前の世界に戻ろうとする力は、強く存在するでしょう。しかし今回の事態は、いのちを守るために、わたしたちは何を大切にして生きるのかを問いかけ、今までのような社会のあり方を許さないでしょう。
 共にいてくださる主が、尊厳あるいのちを守ってくださるように祈ります。また様々な事情から家にとどまれない人たち、とどまる家のない人たちに、力強い守りの手が差し伸べられるよう祈ります。さらにいのちを守るために、日夜懸命に働いておられる医療従事者の皆さんが、守られるように祈ります。病床にある人たちに、神の癒やしの手が差し伸べられるよう祈ります。
 同じいのちを生きる世界中の兄弟姉妹と手を繋ぎ助け合いながら、尊厳あるいのちの創造主である神に信頼し、この危機を乗り越えていきたいと思います。