2012年11月20日
最近、テレビを観る時間が減っているのですが、
『タモリ倶楽部』は録画して時間ができた時にまとめて観ています。
以前放送していた『ブラタモリ』も大好きで、タモリさんの、あの雑学王ぶりと、
ニッチな目線が僕の知的好奇心をくすぐるのです。
そんなタモリさんの過去の有名な発言として、「ミュージカル嫌い発言」があります。
発言の真偽、本音かどうかはともかく、
「しゃべっていた人が急に歌ったり踊ったりしだすなんて、変」
という趣旨の発言。ミュージカルに携わる僕も、実はちょっと同意する部分があるんです。
ミュージカルという娯楽には、熱狂的なファンの方々もいらっしゃるのですが、
食わず嫌いの方々も少なからずいらっしゃるのも事実です。食わず嫌いの理由はいろいろあるとは思いますが、
タモリさんと同意見の方が、少なからずいらっしゃるのでは。
急にセリフから歌に移行する非現実感。死にそうなのに見事なハイ・キーで歌い上げるあの感じ。
わかります。こっ恥ずかしい感じ。
だけど…
優れたミュージカル俳優は、歌と芝居とダンスのギャップを感じさせないテクニックと魅力を持ち、
良い作品には歌う必然、踊る必然が備わっていて、観る人の人生とオーヴァーラップしたり、
強い共感と感動を得るストーリーを持っています。
そして、良い劇場は非現実の世界に入り込んだような感覚を観る人に感じさせる設計のもと作られています。
この要素が揃った公演は、格別です。こっ恥ずかしさを超えた説得力を持っています。
目の前で”現実に起こる非現実”の虜になるかもしれません。
この独特の高揚感と一体感を持った体験は、劇場でなければ体験できない感覚だと思います。
ぜひ劇場へ。
劇場はいつも独特の緊張感と熱気に包まれています。一回一回が、失敗の許されないかけがえのない公演。
出演者はもとより、各セクションのスタッフがエネルギーと集中力を注ぐ一瞬一瞬。
埃っぽい乾燥した空気の中、スモークマシンの独特の臭いのする劇場で味わう”非現実”は、
劇場で、生で観るミュージカルでしか味わえない得難い一瞬です。
ぜひ劇場へ。ちょっと埃っぽいけれど素敵な所です。
どうか「いい作品」との出会いがありますように。
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プロフィール
西野誠
ミュージカル俳優
南山学園創立60周年記念ミュージカル『そして…Tomorrow』で初めてミュージカルに出演。ミュージカル俳優を志す。
主な出演作品は、劇団四季『ウィキッド』(日本初演キャスト)、同左『ライオンキング』、東宝『ミス・サイゴン』、青井陽治演出『GODSPELL』ほか。
最近の出演作品は、錦織一清演出、内博貴/和音美桜主演の東宝『デュエット』。
ミュージカル作品のほか、自身のライブや、テーマパーク音楽を中心にスタジオシンガーとしても活動している。
西野誠ホームページ makotonishino.tumblr.com
西野誠Twitter @makotonishino