大津通り赤門と万松寺の交差点の東側通り沿い、大きな間口一杯にフォトシティ・ワキタの看板が目立ちます。斜め向かい側は、今、全国一といわれるほど活 気のある、万松寺商店街の入り口です。名刹「万松寺」は商店街に入ってすぐ、大須観音へも歩いて10分ほど。大須アメ横、電脳街、老若男女取り揃えて、終 日人通りが絶えない賑やかさです。

株式会社ワキタ商会の歴史は古く、創業は1919年、齢90年に及ぶ老舗である。とはいえ、時代を感じさせない若さを感じるのは、社屋正面に掲げられて いる「デジタルフォト工房」「高品位スキャニング」等の文字からだけではなさそうである。ルーツはカメラ、フイルム等の写真の材料を扱う「ワキタ写真材料 店」。戦後より、レントゲンフイルム・・そう云えば、レントゲンも写真である・・の販売を手掛け、病院等へのメディカル部門を立ち上げた。以後、OA商品 から家電商品などの部門に進出、中部７県に15ヶ所のブランチを持つ映像総合商社としてビジネスを展開している。どうやら、若さの秘訣は「時代を先取る先 見の目」にあるようだ。

勿論、ルーツである「写真」はワキタにとっては重要なもの。今でこそ、販売品目の中で構成率は低いが、最も大事にしているアイテムの一つ。店頭に入る と、すぐ左に「ワキタギャラリー」。年中無休で、毎週、毎週1週間単位で「写真展」が開催されている。ギャラリーはプロの写真家、名の通った写真クラブ用 の「Aギャラリー」とその奥に、大学あるいは高校の写真部などが展覧会を開催する「Bギャラリー」があり、日々大いに賑わっている。それも、無料というこ とであるから、1年前から予約が一杯ということである。

写真文化に大きく貢献されているのは、やはり原点を大事にする心意気であろう。以前は、店頭にてカメラ、フイルム、写真材料、時計等の店頭ビジネスもやっ ておられたようであるが、今は店頭には商品は並べられてはいない。勿論、お客様の要望には何でもお応えし、カメラ等の販売も注文していただければ、お値打 ちに提供する、ということである。純粋なる小売店である。店頭の奥に、何やら大型の機械が所狭しと並び、パソコン画面を見ながら作業されている姿が見受け られる。これが「ワキタ・デジタルフォトセンター」のようだ。

もともと、写真材料とともに写真制作部門を持つ会社で、そのラボの歴史も古い。プロの写真家からアマチュアまで、特に結婚式、七五三、学校写真などを扱う 営業写真家の仕事が専門であるようで、その技術力はおりがみ付き。常に良い写真を、とのこだわりをずっと持ち続けている。昨今、写真はすっかり銀塩からデ ジタルへと移行し、ネガフイルム等の需要がめっきり減少、全国で多くのラボ、写真屋さんが店をたたむ時代。その中でも、いち早く、この時代の到来を予測 し、すっと以前から「デジタルフォトセンター」を立ち上げている。フルデジタルでの大判プリントから一般デジカメのプリントまで、このセンターで制作して いる。映像の総合商社である所以である。

ワキタでの大きな構成率を持つ部門はメディカル部門ということで、レントゲンフイルム、CT、MRI、超音波診断装置などの機器類の販売を主力としている。
大病院から開業医まで、どこの病院にいっても「ワキタ」の看板車の姿が見受けられるそうだ。続いてはOA部門であり、主力はキヤノンのコピー機、今では ファックス、プリンター合体のMFP（多機能プリンター）というそうだが、ワキタの自慢は「全国で唯一、キヤノン製品全てを扱っている会社」だそうである。

ワキタ現社長は、昭和19年生まれでまだ還暦を越えたばかり、中学、高校、大学と根っからの南山育ちである。4歳下の専務の弟さんも中、高と兄弟揃って、 南山にお世話になったということです。ご兄弟、揃って口に出されるのは、やはりお父上である先代社長のこと。北陸は富山のご出身で、大学卒業後「朝日新聞 社」に入られ10年ほどお勤めになった後、ワキタ写真材料店を引き継いだのが終戦前。写真とは無縁の世界から、現在のワキタの基礎を築いたのは、写真業界 の古い慣習に囚われず、常に新しい「モノ」へ挑戦する意欲、取組みがあったからこそ、とのこと。そのお父上は丁度10年前に他界されたそうです。それ故 か、ワキタの社是は「ビッグドリーム」・「ビッグハート」そして「ビッグターゲット」ということです。

堀江宏輝社長（S14）

堀江陽平専務（S18）