2006/10 アプリコット – Nanzan Tokiwakai Web
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タウンぶらぶら歩きTown BURABURA Walking

南山タウンに広告掲載されているお店や会社の訪問記

2006年10月24日

2006/10 アプリコット

株式会社アプリコットは、英語教育関連の出版社であるとともに、児童英語指導者のセミナーも行っております。前身の杏文堂が1978年に児童英語教材 「Let’s Study English 1」を出版して以来、4半世紀以上にわたり児童英語教育教材に携わってきました。1995年の社名変更後、さらに充実した教材を揃え様々な児童英語教育分 野でのお手伝いをしています。

15〜6年程前から日本語関連出版物の制作に携わり始め、平成10年に出版全体の責任者から私が後を引き継ぎ、全面的に関わるようになりました。
日本語関係の出版を手がける糸口は、1985年ユニバーシアード神戸大会にブラザーさんが協賛し、そのノベルティーとして「KANJI FOR FUN漢字カード」を制作したことに負うところが大です。


株式会社アプリコット 取締役 早野 泉さん

20年ほど前、アメリカで日本語教育に携わっていた女性との出会いの中で「英語教育」、「言語教育」さらには「理解とは」を考える機会を得ました。彼女の モットーは国際理解教育の観点から「理解の鍵は聞き手が握る。」「自分以外の他の存在をあるがままに受け入れる姿勢が理解の入り口」で、 日本とワシント ンを往復しながら、「英語を教える」のではなく「英語で教える」ことが必要であることを発信していました。日本では、当時大学入試にヒアリングテスト導入 の動きがあり、公平さを保つ音響設備に文部省が腐心する状況を危惧し、問題はスピーカーの質ではないと直談判に出かける一方、勉強会を開き、会報を発刊し ながら「英語を理解する」のではなく「英語で理解する」啓蒙活動に励んでいました。彼女が亡くなるまでの10年ほど事務局のお手伝いをしながら「教える」 現場の方々の様々な思い入れに触れることができました。


英語絵本シリーズ


英語絵本ビッグブック・ワークブック

この春、文科省が公立小学校5年生からの英語必修化の方針を打ち出した事により、これまで私塾、英語学校用教材会社として捉えられていたアプリコットに も、公立小学校関係からのお問い合わせが多くなり、教材内容紹介はもとより、指導方法のレクチャー要請も頂くようになりました。

小学校教育の中の「英語」は「語学教育として・国際理解教育として」など目標が多様な反面、ことば(言葉)は単なる道具と言い切ってしまう暴言も聞かれ ます。しかし、言葉の本質である「文化的背景」、「伝える内容」「話し手の心の存在」こそ不可欠と思われます。ことばの持つ深遠さを認識することが、今教 育の現場で求められている課題ではないでしょうか。

語学学習をさらに進めて考えた時、自分自身のことを人に伝えたいと望む気持ちと、自分以外の存在をあるがままに受け入れる気持ちを大切にする感受性を育 てること、そして自己の確立こそが必要不可欠な要素なのだと思います。英語よりも日本語教育をといった声が一方にありますが、自己の確立は日本語、英語教 育に関わらず、現在、教育全体の重要な問題点なのではないでしょうか。振り返ってみると、このあたりの考え方は、南山時代に内包され、培われたのかもしれ ません。幸いな事に私自身、それを今仕事の中で再認識することが出来るのです。

将来、個人的には「絵本の読み聞かせ会」を開くことができればと、夢を膨らませています。2000年に、アプリコットから出版した「英語絵本シリーズ」 は、6年を経たこの春、10巻目の刊行でシリーズを完結することができました。よい企画に恵まれ、このような形で私自身の想いが実現した事は嬉しい限りで す。娘が小学校低学年の頃まで、毎晩物語を読み繋ぎ、親子で楽しみました。本来、読み聞かせは親子が行なう姿が本質かと思いますが、そのきっかけ作りがで きればと思っています。外国人による「英語絵本の読み聞かせ会」の一方、日本語の絵本の読み聞かせも始めたいと、この夏からは、英語絵本読み聞かせ お試し会を開き、下地作りを始めています。


英語絵本読み聞かせ

2006年8月
(株式会社アプリコット 早野泉さんからの寄稿を元にしています)

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