2018年1月28日
黄色いしましまTシャツとカラフルなだぶだぶサスペンダーズボン。
赤靴下に赤い靴、赤いお鼻をチョイと付け、ほっぺに赤いハートのお化粧。
仕上げにひまわりがいっぱい咲いている黄色い帽子をかぶって、準備OK!
私はクラウン「マミー」。
大きな肩掛けカバンとズボンのポケットの中には、マジック道具やジャグリング道具、そしてプレゼント用のバルーンがいっぱい詰まっています。
小児病棟を訪問し、入院中のお友だちのベッドサイドでパフォーマンスを行っています。
「クラウン(道化師)」は、その場の空気を読みながら、おどけたり失敗したりすることでみんなを笑わせます。また自分よりも相手を主役にひきたてるので、周りの空気を温かく幸せな気持ちにします。
こんなクラウンの特性を活かし、肉体的・精神的な不安と苦痛を抱えて病気と闘っている子どもたちと関わり、小児病棟にふわっと爽やかな風が入ってくるような空間を一緒に創り出すのが、ホスピタル・クラウンの活動です。
病室の子どもたちにとっても家族にとっても「笑うことができる時間」はとても大切です。それによって治療に立ち向かう気力を取り戻せることもあります。病院スタッフもクラウンに出会うと思わず笑顔がこぼれ、病棟の雰囲気が少しだけ明るくなります。
現在私は、「特定非営利法人 日本ホスピタル・クラウン協会」に所属しています。
この協会の理事長である大棟耕介が、2003年にクラウンのスキル向上のために渡米した際、ホスピタル・クラウン活動に出会い深く感銘を受け、帰国後名古屋第一赤十字病院で定期的な訪問を始めました。その活動を広げるために、2005年「ホスピタル・クラウン協会」を設立し、2006年に「特定非営利法人 日本ホスピタル・クラウン協会」としてスタートしました。
今では全国的に活動範囲を拡大しており、すべての件の子ども病院や大学病院、国立、私立病院への定期訪問を目指しています。(2017年現在、北海道から沖縄まで33件87病院で、99名のクラウンが定期的に活動しています。)
ホスピタル・クラウンの活動を行うためには、クラウンとして「ジャグリング」「バルーン」「マジック」などのスキルを磨く他に、病院という特殊な環境に十分対応できるように様々なトレーニングを受けます。
例えば道具・衣装・手指などの衛生管理の方法、処置の邪魔にならないよう最新の注意を払うこと、自身の健康管理・予防接種・抗体検査点ワクチン接種、守秘義務の徹底、何よりもナーバスになりがちな子どもたちの心を傷つけることのないように、お部屋への入り方から練習します。そして病院での5回の実地研修の後、認定教官の許可が出るまで繰り返しトレーニングして、やっとのことで認定が下ります。
病棟での活動の他に、2011年からは、震災にあった東北店熊本で毎年「小さなテントサーカス」を行っています。私も2013年から参加してきました。
人の力だけで立てられる最大の大きさのテント(約100人収容)をトラックに載せ、名古屋から東北・熊本に出かけます。被災地の避難所・仮設住宅・復興公営住宅などにお邪魔して、テントでのパフォーマンスを楽しんでいただいています。これまでに延べ429か所、550回の訪問をしていますが、前向きに復興に取り込んでいらっしゃる皆さんの姿に、私たちクラウンの方が励まされています。
「じゃ、また来るね」と差し出した手のひらに、ニコニコ笑顔の「タッチ」のプレゼント。私は幸せな気持ちでお部屋を後にします。手渡ししたくまさんのバルーンを見る度に、楽しかったひと時を思い出してくれる たくさんの仲間たちとこのようなすてきな活動ができるのを本当に幸せに思います。
ホスピタル・クラウンの活動は、これだけの事業ですから、たくさんの経費がかかります。応援してくださる賛助会員・賛助企業の皆さんのあたたかいご寄付によって、活動や事業が支えられています。
もっともっとたくさんの方にこの活動を応援していただき、できるだけ多くのお友達の笑顔に出会えることが私たちホスピタル・クラウンの願いです。
プロフィール
矢野 泉(旧姓 木下)(G21)
豊田市生まれ
1974年 南山高校女子部卒業
1978年 南山大学卒業
中学高校時代はバスケット、大学では剣道に熱中する
小中学校教員、子育て、介護を経て現在に至る
NPO法人 日本ホスピタルクラウン協会 http://www.hospital-clown.jp/