vol. 8 眞木 準(S19) 「インディアン・カレーもあるでよー。」 – Nanzan Tokiwakai Web
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2006年1月6日

vol. 8 眞木 準(S19) 「インディアン・カレーもあるでよー。」

 南山高校を卒業して名古屋を離れ、もう東京の暮らしの方が長くなった。
 そのためかえって、仕事で帰名した折など、浦島太郎のようにカルチャーショックを受けることがある。
 今年、専門学校の講座があり、寄った折にこれはすでに高名とどろく「ひつまぶし」を食した。いまやナゴヤメシは、愛知万博ブームも手伝って全国でも流行ときくが、高校生の頃、ひつまぶしなど、名前すら知らなかった。同様に、みそカツも、みそ煮込みうどんもそうである。
 私が南山で過ごしたのは、1960年代であったから、美食などというものすらなく、名古屋名物といえば、きしめんくらいだったろうか。思えば、ひつまぶしもその頃は、知る人ぞ知る伝統食としてひっそりと続いていたのであろう。
 いずれにしろ、私にとってひつまぶしは、このうえもなく美味なカルチャーショックであった。
 いまひとつショックなことは、学生たちと話をしていて、アレレ、と奇妙に思ったことがある。それは方言のナマリがほとんどないことである。彼らは、ほぼ標準語であった。
 かつて名古屋のテナントビルのオープニング・キャンペーンを依頼され、「海老フリャア食べとるヒマは、にゃあ」というコピーをつくり、ヒットしたことがある。10年以上前のことだが、いまでは効くかどうか。名古屋人の柔軟な協調性といえばきこえは良いが、食と言葉は、文化である。
 願わくば、ナゴヤメシと同様にミャーミャー弁にも誇りを抱いてほしい。
 それにしても、実のところいま最も懐かしく食べたいものは、南山高の食堂のメニューにあった、クジラのカツをのせたインディアン・カレーである。

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