2017年4月19日
NGO(Non-governmental Organization 非政府組織活動法人)の数は全国で5万。その中で、国際協力を掲げる組織は500。愛知県には100程の活動団体があるそうです。今回、ご紹介する「特定非営利活動法人 名古屋NGOセンター」もそのひとつ。貧困・紛争・環境破壊といった地球規模の問題に取り組む民間活動を支援しています。創立理事長であるステファニ・レナト氏の遺志を引き継いで、かれが目指した人権・平和・環境が守られる社会の実現を活動理念としています。
名古屋NGOセンターが正式に設立されたのは、1995年。中部圏の国際協力活動にたずさわる13団体のNGOが連合して、前身の「名古屋第三世界交流センター」から発足したネットワーク組織です。情報の共有やイベントの開催協力からはじまった活動も、現在では加盟するNGOの数が48団体に増え、活動の幅を広げています。
年に7回開催の理事会 加盟NGO団体からの代表が出席する (撮影:4月15日)
「南山タウン」協賛主は、名古屋NGOセンターの設立直後から、ボランティア・賛助会員として支援を続けていらっしゃる蟹江舟美さん(G18・旧姓 杉浦)です。
「夫のアメリカ勤務でサンフランシスコ郊外に住んでいたとき、小学校のPTAのお手伝いで、母親たちが気軽にボランティアを行っている姿勢に興味を惹かれました。社会貢献というと、何か意気込んでしまいがちですが、アメリカでは、気張らずに普通の主婦が、できることで社会に関わっていました。帰国してすぐ、ちょうど中日新聞に『名古屋NGOセンター』起ち上げの記事を見つけました。まだ狭い民家に集まって活動する小さな団体でしたが、気負わずに、できることを始めてみようと思ったのが、支援のきっかけでした。家庭の事情でお休みする時期もありましたが、センターが栄のYWCAに拠点を移すようになってからは、また参加させていただくようになりました。時間の許す範囲内でのお手伝いですが、どんどん入れ替わるように、若い方たちも参加して巣立っています。『南山タウン』に、NGOセンターを出していただいていますのも、センターの活動を知って欲しいという願いと、主婦の自分でもできることがあるのならという想いからでした。たいしたことはできないのですよ・・普通のおばちゃんですから(笑)」
「できることを普通にするだけ」という蟹江さんの淡々とした口調に、ある種、「目からウロコ」の想いでした。゛NGO活動の人”という勝手なイメージをくつがえす、やわらかで穏やかな考え方と持続的な姿勢。それこそが、民間活動の大きな支えになっていることを痛感しました。
今回の「タウンぶらぶら」訪問は、蟹江さんのご紹介で、現在、゛ばりばりで”、ボランティア活動を続けていらっしゃる高野栞さんにお話を伺うことができました。
名古屋NGOセンターでの高野栞さん
「この春、南山大学外国語学部スペイン・ラテンアメリカ学科を卒業しました。南山繋がりということで、この取材を受けさせていただきました。4月から一般企業に勤めながら、週末に、名古屋栄のNGOセンターで活動を続けています。将来、ペルーを支援するNGOの団体を起ち上げたいと思っています。中学生の時、勉強や部活がスランプ状態になって、自分の存在理由って、何だろうと悩んだことがありました。そんな時、三重県のカトリック高校で、週末に行っていたボランティア活動に参加して、自分の存在価値を見つけることができました。特別な能力が無くても、自分ができることをして、人の役に立てる。それが、NGO活動に関わる動機となりましたが、日本では、東南アジア・アフリカへの支援に比べて、南米支援はあまり聞かない。そう思うと、この頃から、地球の裏側に在る南米への関心が大きくなっていきました。大学はスペイン・ラテンアメリカ学科を選びました。1年と4年時は、地元松阪から片道2時間半かけて通い、4年時には、授業や就職活動の傍ら、このセンターでインターンというかたちで活動を始めました。
センターとの出会いは、大学2年の時で、人材育成の『NGOスタッフになりたい人のための研修・NGOのたまご(通称・Nたま)』への参加。座学やフィールド・ワークを通しての半年間の研修です。インターンは、1人の職員さんに付いて、年間を通し一つの事業を体験させていただきました。JICA中部さんとの協働事業である『国際協力 カレッジ2016』では、イベントの企画から、チラシ作りや広報、当日の運営までを行い、大きな学びの時間となりました」
2016年12月に開催された「国際協力 カレッジ2016」 シンポジウムとマッチング展
「就職を営業職に決めたのも、将来、NGO起ち上げに必要となるFundraising(活動資金集め)にいかせるところがあるからです。実は、就職活動を行うかどうか迷っていましたが、『活動するのはNGOという世界でも、実際、NGOが働きかけるのは一般企業で働く社会の方々だから、一般企業で社会勉強をしていくのは必要だ」と言われました。これは、48ある名古屋NGOセンター加盟団体のひとつ(公財)アジア保健研修所の職員の方からのアドバイスです。確かに、NGOで働くには、働けるタイミングが来た時に、社会に通用できる人間になってないといけないので、一度、企業へ就職することを決めました。NGO職員には強い意志を持った人も多くて、いろんな形の出会いがあります。それが好きですね」
名古屋NGOセンター職員の坂井さん(左)と
「南山大学では、『ニカラグアの会』というNGOのメンバーでもある牛田先生のゼミに所属し、ペルーのインフォーマル・セクターについて調べ、卒論はペルーの雇用問題をテーマにしました。実際、ペルーへは大学のスタディ・ツアーで訪問し、『マチュピチュ村の村会』というNGOでボランティア活動を始め、昨年の8月には、来日された村長さんをアテンドしました。村長さんから直接、マチュピチュ村の問題点などを伺えたのは大きいです。はい、もちろん、スペイン語での会話でしたが、『スペインのスペイン語だね』と言われました(笑)」
「現在は、仕事休みの週末に、センターで3年分の理事会議事録をまとめたりしています。将来、自分がNGOを起ち上げて、ペルーへの支援に携わる時は、講義で学んだことや本で調べたこととは違う多くの課題に直面すると思います。その時に、どう対応できるのか、現地に2年程、移り住んで考えていきたいと思っています」
取材:クマール モニカ・杓谷・吉田 &文:塩野崎
特定非営利活動法人 名古屋NGOセンター
活動事業7つの柱
1 ネットワーキング
2 コンサルティング
3 情報収集・発信
4 調査・研究
5 政策提言
6 国際理解・開発教育
7 人材・活動教育
http://nangoc.org/
*現在 書き損じハガキ・年賀状・未使用切手・テレフォンカードを募集しています。
*郵送または開館日にお持ちください。
(郵送料のご負担をお願いいたします)
〒460 0004 名古屋市中区新栄町2の3 YWCAビル7階
Tel&Fax 052(228)8109
火曜から土曜 13時から17時
E-mail info@nangoc.org
年4回発行の「名古屋NGOセンター」の会報誌で「物品寄付者」としてお名前を掲載させていただく予定です。
匿名ご希望の場合はお申し出ください。
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【編集後記】 クマール モニカ(K08)
常盤会Webのインタビューに初参加させていただきました。お相手は、新卒でお仕事をし始めた傍ら、週末に名古屋NGOセンターでボランティアをされている高野さん。
彼女のボランティアへの目覚めは「自分の存在意義への悩みに答えをくれたこの道で自分を活かした
い!」と心に決めた中学時代。とてつもなく悩んでいた頃を乗り越え、輝く目標を見出したと語る彼女を前に、先日の南山国際入学式での来賓の方の言葉を思い出しました。
「Posttraumatic growth. 若いうちにトラウマ(苦労による心のキズ)を経験するほど、より人間的に成長する」 (南山友の会・加藤千麿 S08 様より)
「まさに彼女はこの通りに成長したのだな」という印象。将来は自身でNGOを設立するという明確な長期ビジョンのもと、それを見すえて進路を決めた彼女の発想の広がり、シャープさからも、本当にやりたいことを目指して歩んできた様子がうかがえました。
小柄な中に、強く確かでキラキラした夢を、エネルギーを感じたステキなインタビューになりました。