2005年6月24日
取材の日、約束の時間にはまだ20分ほどあり、名古屋時間を守るべきか、と思いながらも、意を決して門をくぐりました。門から玄関までの石畳が、丁寧にみずうちされていて、「もてなされている」という気持ちが高まります。
「蓬莱」は、昭和6年創業。創業70年を越すお店は、この名古屋でも多くはありません。さらに、社長の佐治様のお話では、一部戦火をまぬがれた建物があるということ。栄地区にあって、珍しいのでは?
さて、お料理。味わっていただきたいのは、だしだそうです。湯葉をだしにつけていただく料理がでましたが、湯葉のように味の薄い素材こそ、だしの活躍どころだと。湯葉は、「蓬莱」の懐石だけでなく、隣接する「蓬坊」でも出されるということなので、素材の選別から丹精をこめたかつおだしを試してみることができそうです。
この日の刺身のなかでも、特にかつおは、何種類かの香味野菜を盛り、ポン酢にオイスターソースを加えたもので仕上げてありました(レシピは、佐治様に伺いました)。しょうが醤油とは違い、かつおと野菜の味が、口のなかでかえってさわやかに混ざり合います。「サラダ感覚ですよ」と佐治様は軽く言われていましたが、少し気になった一品でした。
懐石料理は、メニューを見ずにいただいても、仲居さんがふすまをあける度に「次はどんな料理がくるのだろう?」とわくわくしてしまいます。時間もあっというまに過ぎ、次から次へと運ばれてくる料理も蓬餅で締められたときには、もう2時間以上も経っていました。
最後に情報をいくつか。
◎蓬莱の味を、ご家庭でも楽しみたい方に。佐治様みずから、栄ガスビル料理教室で、講師を務められているそうです。講座名も、ずばり「蓬莱の味」。詳しくは、
http://www.grappee.com/school/
をご覧ください。
◎小グループの昼食向きのメニューも用意されています。本格的な懐石料理が、お値打ちに楽しめます。
◎「ご来店のおりには、できるだけ2日前までにご予約を」ということです。「朝、市場へは自分で仕入れに行っています」とうがかうと、こちらも一見ではなく姿勢を正してお邪魔したくなってしまうのも不思議です。
◎「蓬莱」をご利用の際は、予約時にこの記事ご覧の旨を是非お伝え下さい。食前酒をサービスしていただけるそうです。
(KAVA)