2005年7月24日
冷 房 病
冷房病は現代の夏病(なつやみ)。
汗をかいて、能動汗腺を活発にしよう!
京の町家では夏の暑さを過ごすためにいくつかの工夫を凝らしてきた。建物は風の通り道を必ず考え、すだれで日差しをさえぎり打ち水で涼を呼んだ。行水や風鈴、団扇(うちわ)も大切な小道具。
ちなみに家の中は内側なので団扇、外出したら扇(おうぎ)と使い分ける。団扇はくつろがせ、扇は場を引き締めるとも。もっとも祇園祭の時は外でも団扇を使う。
夏本番、近代建築のオフィスや住宅では冷房でガンガン冷やす。すでに1960年ごろから、「冷房病」という言葉が登場している。
人には「生体恒常性機能」があり、暑い時には汗をかき、寒い時には皮膚の毛細血管を収縮させ、環境変化に自然に対応している。しかし、冷房の効き過ぎた室内で生活を続けているとこの機能が乱される。
1)朝起きられない 4)めまいがする。のぼせる
2)常に身体がだるい。腰も痛い 5)頭が痛くなる
3)やる気がない
これらは「起立性調節障害」の症状で、冷房病による自律神経失調症の一つである。
冷房が能動汗腺にダメージを与え、汗が出ず体温調節が出来ない状態も危険である。
この場合、基礎代謝が落ちて、気付くとむくんだり太ってしまうことも。
【冷房病の対策を考えてみよう】
1)室内温度は外気温より五〜七度ぐらいの低さに 5)室温が通常より二〜三度高い省エネタイムを
2)真夏でも二七度以上の室温 6)室温が上がって暑がる人には扇風機で対応
3)薄着の女性、寒がりの人に合わせる 7)冷房の向きにも注意(直接当てない)
4)男性は上着を脱いで協力する
冷房病は汗をかかない生活の結果でもある。汗をかいて能動汗線を活発に!
1)夜は浴槽に入り血行を良くする
2)1日一回は暖かい飲み物を飲む
3)休日はスポーツで良い汗を流し自己防衛を
7月。京は祇園祭一色になる。素戔鳴尊(スサノヲノミコト)が祭神の八坂神社の祭礼である。 祇園祭では「蘇民将来子孫也」(ソミンショウライノシソンナリ)と書かれた護符が有名。
千年前の京には夏の疫病が蔓延していた。護符の由来は、はるか昔、スサノヲノミコトが南海を旅した時に、富んでいた兄の巨旦将来(コタンショウライ)は 宿をかさず、蘇民将来は貧しかったにもかかわらずもてなしをした。そのお礼として「後の世に疫病あらば、蘇民将来の子孫と言い、茅の輪を腰につければ免れ させる」といった伝説によるもの。
冷房病は現代の夏病。エアコンにたよりきりの贅沢な暮らしではなくて、蘇民将来のような自然と向き合った暮らしが必要であるという教えかもしれない。
山田 琢之(やまだ たくじ)
○プロフィール:山田 琢之
1974年 愛知医科大学卒 名古屋大学医学部予防医学教室入局
1985年 名古屋市職員健康管理センター所長
1994年 愛知医科大学助教授
1996年 名古屋大学医学部非常勤講師
2000年 エスエル医療グループに参加
2001年 愛知医科大学客員教授
なお、南山常盤会には、お嬢さんがお二人(G47、G50)いらっしゃいます。