2013年3月14日
名古屋市に隣接する日進市。閑静な住宅地にある自家焙煎珈琲の喫茶とギャラリーとを兼ね備えたお店『森の響(もりのおと)』を訪ね、オーナーのS42余語和則さんにお話を伺いました。
『森の響』の外観は緑に囲まれた和風のたたずまい。正面は萱葺き屋根と立派な山桜。萱葺き屋根のエントランスから店内へと導く石畳、脇には手入れが行き届いたお庭と、お庭の片隅からはせせらぎも…。店内に入る前からマイナスイオンに覆われ心癒されてしまいます。
店内に入ると左手に喫茶、右手にはギャラリーがあります。珈琲の香りに惹かれまずは喫茶から。
喫茶エリアに入ると無垢材一枚板で造られたカウンターに9席。カウンター奥には余語さんが生けたお花が私たちを出迎えてくれます。お客様に対する細やかな心配りと余語さんのお人柄を感じます。テーブル席は27席あり案内されたテーブル席からは正面窓越しにカエデ・クヌギなどたくさんの樹木が目に飛び込んできます。
なんでも窓位置は建設中に飛騨高山の大工さんと余語さんが図面無しで決めたそうです。
その絶妙な窓位置から見える森の景色を背にしてみると暖炉があり冷えた体と心を温めてくれます。また片隅に置かれたピアノは56歳とのことです。鍵盤の蓋は閉ざされていましたが、まるで音を響かせているかのように全てが調和された空間となっています。建物の柱は主にクリ、床はユーカリを使っています。驚くことに主柱は昔ヨットハーバーの桟橋に使われていたものをオーストラリアから輸入してそのまま使用しているとか…。
たくさんのメニューから名古屋ブレンド(500円)と数量限定のチーズケーキ(450円)をオーダー。自家焙煎した豆を丁寧にペパードリップしてくれたコーヒーとおつまみのクッキーは絶品。チーズケーキはクリーミーですがさっぱりしていました。名古屋ブレンドとも相性バッチリ。
他にも紅茶やサンドイッチなどもあります。
お店の定休日にはこの空間で定期的にコンサートを開いています。建物の大きさ、梁の造りが音の響きを良くしてくれる。コンサートはいつも大盛況とのことです。余語さんの音楽に対する思いを尋ねてみると、「音楽=感情 音の響き=心の響き ようするに演奏者が奏でている音は演奏者の心の響きで、それを聴いた人は心が振るえたり何かを感じたりする。是非一度ここで聴いて欲しい。」と熱く語って下さいました。近々100回期を行う予定ですが、フラメンコ・ギターの沖仁さん(フラメンコ・ギター国際コンクールで日本人初の優勝)のコンサートを行います。
一方、ギャラリーはとても洗練された感があり、喫茶スペースとはまた違った雰囲気です。地窓から観える坪庭と明かり、トップライトから降り注ぐ太陽の光が展示品をよりすばらしく魅せてくれます。
当日ギャラリーでは水彩画展が行われており、父親である余語啓次さん(S06)の作品も2点飾られておりました。
そもそもギャラリーと喫茶の併設の案はご両親の案とのことです。現役から退かれるご両親が老後に向け共通のご趣味をと始められたのが水彩画。
お店OPEN当初はギャラリーを使いたいという方がいらっしゃらなかった為、ご両親の水彩画教室の先生の作品を展示していたそうですが、今ではギャラリーの方も2年先まで予約で一杯なのだとか…。
1月には羽柴千都子さん(G02)の水彩画展も行われておりました。
そんな『森の響』オーナー余語さんの南山時代は?
「よく先生に叱られていましたね。(笑)南山中学に入学、すぐにアメリカンフットボール部に入部。当時は中学1年生で入部する人は少なかったが、私の場合、小学4年生の時にテレビたまたま観たスーパーボウル(全米プロ優勝決定戦)に憧れ、南山に入ったら絶対アメフトをやると決めていました。
また高校1年の時バンドを組んでそれ以来音楽は大好き。当時はハードロックばかりでしたが、大学に入りロックにジャズ、フュージョン、クラッシク、今ではジャンルを問わずなんでも好きです。
勉強は出来る方ではなく授業中は出来るだけ先生に当てられないようにしていました。(笑)高校2年の夏、休学してアメリカへ一年間留学。アメリカで受けた授業は日本のスタイルとは大きく違い、ひとつのテーマを先生と生徒、または生徒同士で討論し合うというものでした。自分の意見を主張し、またその意見に誰かが意見を述べる、そんな授業スタイルに影響を受け、帰国後南山に復学してからは授業に対する姿勢が積極的になり、授業で解らないことがあればその場で先生に質問する。先生からも「授業が進めやすい(汗)」と喜ばれていました(笑)」
東京の武蔵大学卒業後、飲食チェーン店の会社に就職。いつかは自分のお店を持ちたいと思っていたある日、長野県の安曇野で休息中に森の葉の音に癒されている自分に気がついた。「森には生命が宿っており、風が吹けば森の葉が鳴く。その響(おと)が人の心に響き、人は何かを感じさせられたり、癒されたりする。店を開くのならお客様が癒される店にしたい、絶対に緑をテーマに店を作る。」そんな余語さんの強い決心とお客様に対する思いやりから生まれた『森の響(もりのおと)』
ここ『森の響』は訪れる人達の心が互いに響き合う空間です。
名古屋から車で30分程のところですが、どこか遠い別荘地で寛いでいるような気分にさせてくれます。春には新緑でいっぱいになるそうです。是非、一度お立ち寄り下さい。
文:鈴木哲 写真:大河内康史
『森の響』オーナー余語さんのfacebookページ(お店の最新情報が発信されています)