能楽師狂言方 十四世野村又三郎さん(S42)より
米国アトランタでの「Japan Fest Atlanta 2018」参加報告が届きました。
**********
◆2018年9月15日(土)から16日(日)に、アメリカ・ジョージア州アトランタで開催されました【Japan Fest Atlanta 2018(主催:Japan Fest inc/協力:在アトランタ日本国総領事館)】に招聘されて参加してまいりました。
4泊6日の旅程で、土日の2日間は、10時〜18時にブースでの文化発信と、その間に 500席程のキャパのシアターでのメイン公演と、 隣接するイベント会場における3000席程のフードコート特設舞台でのサブ公演の計4ステージが開催されました。
それに先立って、14日(金)にジョージア州立プリメタ大学での公開講座(レクチャー&デモンストレーション)が実施されました。
フェスティバル後は日米協会会長夫妻や現地の日本商工会議所会頭との会食や、総領事公邸にお招き頂いての会食があり、成田空港から片道12、13時間を掛けて出向いたものの、滞在中は有名な「コカコーラミュージアム」さえも行く余裕の無いタイトスケジュールで、空港と会場とホテルのみの旅になりました。
今回は興行ではなく、在アトランタの日本企業の支援を受け、総領事館の協力を得たフェスティバルという事もあり、予算が限られていたため、字幕スーパーやイヤホンガイドでの通訳が実施出来なかったため、やはり動きの少ない言葉のやり取りだけの導入場面は反応が鈍かったですが、徐々に状況把握をし、動きが多くなってからは、寧ろ日本で上演している時よりも反応も大きく、アメリカ人らしく大きな笑い声を上げ、手を叩いて喜んでくれました。
また、ブースにおいて狂言面の着用体験コーナーを設けたところ、舞台鑑賞よりも遥かに反応が良く、数百人の老若男女の来場者がブースを訪れ、「武悪(ぶあく=devil)」「乙(おと=ugly lady)」「嘯/空吹(うそふき=mosquito)」を代わるがわる着けては写真を撮って楽しんで下さいました。
※詳細はhttp://www.japanfest.orgを御参照下さい。
同行した一門の者、取り分け、現在高校3年生の倅(せがれ)にとっては、受験勉強の真っ只中ではありましたが、前述の公開講座に参加して下さった若い女性が、翌日の予定を変えて「キュートな彼と一緒に写真を撮るためにフェスティバル会場に来ました!」と、追っかけ(?)をして下さったりと、様々な場面で学校の授業では得難い貴重な経験も出来ました。
(※一門の者の話では、その女の子のFacebookにその写真がアップされているようです)
2020年に開催されます【東京オリンピック】に際しては、我々の業界からチーフECDが任命されましたが、オリンピックは「スポーツと文化の祭典」でもあり、酷暑・極暑が予想される日中の屋外競技の実施は困難という事もあり、殊にメインスタジアムである新国立競技場と国立能楽堂は徒歩圏内に位置しますので、国内外の多くの方々に午前中と夕方からは陸上競技を観戦して頂き、日中の暑い時間帯は涼しい能楽堂で舞台鑑賞をして頂く… そんな計画が進められており、開催までの2年間にも色々なプレ企画がありますので、自分もその末席ではありますが一翼を担う一員として尽力をするに当たって、文化発信・文化交流における良いスタートが切れたように思います。
併せて、帰国後に送られてきた主催者からのお礼のコメントも、添付させて頂きます。
《お礼メール(一部編集)》
アトランタに着いてから、金曜日の講演を始め、ジャパンフェスティバルの2日間の4つの公演とブースでの観客との連携、普段とまったく違う場所と文化の中で狂言を伝えることに力を注いでいただいて、感動しました。
劇場の違い、観客の反応の違いなど、それぞれのことに柔軟に対応していただいて、素晴らしい公演を披露していただき、たくさんのアメリカ人に狂言の良さを伝えることができました。
私たちはいろいろと反省がありながら、ジャパンフェスティバルでの野村狂言の公演は成功で、大変嬉しくおもいます。これからのご活動に幸運と健康をお祈り申し上げます。
————————————–
十四世・野村又三郎(NOMURA Matasaburo XIV)
【狂言やるまい会】
〒460-0021
名古屋市中区平和一丁目20番4号
株式会社 野村事務所
URL/http://kyogen.net/
**********