2012年5月26日南山国際高ディベート部「日本は今アフガニスタンに何ができるか」 – Nanzan Tokiwakai Web
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2012年5月28日

2012年5月26日南山国際高ディベート部「日本は今アフガニスタンに何ができるか」

5月26日午後、JICAなごや地球ひろばで、JICA主催・駐日アフガニスタン大使館協賛による「アフガニスタンに関する会合パラレル・イベント」が開催され、 『アフガニスタンその光と影』と題した「講演会」と『今、日本がアフガニスタンに何ができるか』をテーマとした「討論会」が行われた。

講演会「アフガニスタン その光と影」で、日本で医師免許を取得し、日本に帰化した元アフガニスタン人のレシャード・カレッド氏が「アフガニスタンの現状と課題」について語った後、討論会「今、日本がアフガニスタンに何ができるか」では、JICAから依頼をうけた南山国際校・ディベート部の高校生7人が参加し、アフガニスタン復興に際して優先すべきは、「人材育成」か、「経済成長」かについて、議論を戦わせた。

「人材育成」論チームは、国の就業人口の7割が農業であったアフガニスタンの国土が、戦禍によって農地や緑地を奪われ、地雷や不発弾で耕作できず、収入源を絶たれた人々が、仕方なく、麻薬の栽培などに手を染めている現実や、女性の識字率が18パーセントという教育水準の低さを指摘し、貧困からの脱却には「人材育成や教育が急務」であると立論した。外務省HPやJICA資料から、教員資格のない教師が7割に及ぶという具体例や、青空教室のような環境で学んでいる現状を引き出し、「教員の育成・カリキュラムの確率」「学用品の支給」「学校施設の建設」の必要性をあげた。


一方、「経済成長」論チームは、水道電気といった生活基盤設備のない地方格差の現実と、エジプト・イランに次いで多くの難民を有するアフガニスタンの不安定な情勢を指摘して、保健衛生の不備をなくす「インフラ整備」と「雇用創出」が急務であるとし、農業の妨げとなっている「地雷」の撤去は、安全な国土復興と農業再興のためだけではなく、手つかずとなっているアフガニスタンの豊かな天然資源の活用にも大きな救いになると述べ、小松製作所のHPから、地雷撤去のための対人&対車機の効率にも触れて、「経済支援」の必要性を説いた。

「国の未来や発展は、『人』にあり、人材は、受け継がれていくべき国家資産で、教育は国の根幹を成す重大課題」とする「教育支援」論チームと、「生活基盤と安全な環境があってこその未来。それを支える経済支援こそが最優先課題」とする「経済支援」論チームの熱いディベートに、同席していたアフガニスタン留学生たちからも大きな拍手が起こった。

今回の講演者で、カレーズの会理事長の医師レシャード・カレッド氏(写真下・中央)は、「ソビエト侵攻ー聖戦ータリバン政権ー9・11テロー米軍攻撃と続いた紛争によって、働き盛り世代の男性就労者を失ったという国の問題は、同時に、一家の働き手である父親を亡くした子どもたちが、麦や羊を売ったりして生計をたてねばならないという窮状もはらんでいる」と付け加えた上で、両チームの白熱した論旨の確かさと、丁寧な精査の労をねぎらい、謝意を以て、討論の講評を述べられた。また、駐日アフガニスタン大使館の次席代表・参事官のバシール・モハバット氏(写真左から二人目)は、日本からのODA・70億ドルの援助に感謝の意を表すとともに、アフガニスタンに目を向け、真摯に論議を交わした国際校ディベート部の7人に敬意を表して、ひとりひとりに感謝状を手渡された。

応援にかけつけた安藤比呂美教頭先生(写真右から2人目)は、「生徒たちの準備期間がとれずに、心配していましたが・・」と手に汗握りながら、論戦を見守られた。

イベントを担当した新井慶子さん(写真右から5人目)は、国際部卒業後、日本文学を専攻し、短大で教鞭をとり、「日本人としての自分のアイデンティティを確立したので」イラン・パキスタンでの活動を続け、現在は、JICA南アジア部の特別嘱託として、引き続き、「アフガニスタンに関する会合パラレル・イベント」を下記に担当している。

注:生徒たちの顔写真は許可を得て未修整のまま掲載しています

( by minami)

 

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「アフガンシスタンに関する会合 パラレル・イベント」

映画上映会『子供の情景』& 講演会(写真家・長倉洋海氏)

6/9 (土)東京(JICA地球ひろば)
6/16(土)札幌(JICA北海道)
6/17(日)神戸(JICA関西)

いずれも午後からの開催で、参加費は無料

『子供の情景』はイラン人の女性監督によるアフガニスタンの映画
映画配給会社の代表で監督とも親しい武井みゆき氏による解説もあります

長倉洋海氏は、長らくアフガニスタンを撮り続け独自の視点を持つ写真家

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独立行政法人 国際協力機構(JICA)
南アジア部 南アジア第二課
特別嘱託 新井 慶子

Keiko Arai(Ms.)
South Asia Division2,
South Asia Department,
Japan International Cooperation Agency

e-mail: Arai.Keiko@jica.go.jp
Tel: 03-5226-8649
Fax.: 03-5226-6349
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