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2018年7月27日

vol. 132 小鹿 純子(旧姓・伊藤)(G09)「father」

「father」

 6月30日、映画「father」の名古屋での上映初日にG09の同窓生6名が集まりました。
映画は、私たちの恩師でいらっしゃる後藤神父様のドキュメンタリーで、映画の名古屋公開にあたり、神父様が舞台挨拶にいらっしゃると伺ったからです。
 
 
 88歳とは思えない若々しい神父様にお会いし、初めて教壇に立たれ、高校3年の私たちに「宗教」を教えてくださった時の柔和なお顔とお姿が瞬く間に蘇りました。半世紀以上前の懐かしい思い出です。
 
 
 この作品は、神父様のカンボジアでの学校作りの旅、故郷・長岡への旅、2年間にわたる日常生活が、じっくり語られるドキュメンタリーです。請われて、カンボジア難民の2人の男の子を引き取った神父様は、「にわか親父」となり、毎朝、心細げに登校する2人の見送りを1日も欠かさず1年間も続け、最終的には14人の子どもたちを育てあげます。
 
 
 「心を寄せ共に生きる」。強い神父様の信念が胸を打ちます。この信念は、さらにカンボジアの僻地に19校もの学校を作ることへと発展していきます。子どもたち、村人たちの願いを、苦難の末、叶えていきますが、こうした形の支援を続けていくことは、彼らの自立を妨げるのではないかという危惧、また、ご自身の後継者の心配も生まれます。
 
 
 映画には、―「どんな戦争もあってはならない」。「誰もが人としての尊厳を守られなければならない」。そのためにも、「教育の機会が等しく与えられなければならない」ーこのテーマが一貫して流れています。
 
 
 新潟県長岡市の浄土真宗のお寺の次男として生まれた神父様は、15歳の時、空襲で最愛の母と弟妹を瞬時に失うという悲惨極まりない体験をされました。私は、今回、このことを初めて知りましたが、この残酷な体験が神父様の人格形成やさまざまな行動の原点となっているのではないかと思いました。
 
 一見して豊かに見える日本にも、最近は、虐待を始めとした歪んだ家族の生む悲劇が現実に起き、家族のあり方や希薄な人間関係が問われています。
 
 「心を寄せ共に生きること」。神父様の強く熱いメッセージをしっかり受けとめた私たちでした。ぜひ、多くの方々に、この映画を観ていただきたいと思います。
 
 神父様、どうぞお元気でご活躍ください。またお会いできる日を楽しみにしています。

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