2023年5月14日
読書好きの友人・知人と、この本に話題が及ぶと、「持っているけど、まだ読んでいない。内容も重く、むずかしそうだ」「方言が多くて、ちょっとひるんでしまう」
など、たびたび聞いたものです。
それはそうだろうと思いつつも、繰り返し読み進むたび、やがては作品の持つ力に引き込まれ、圧倒されてしまう自分がいます。人間の尊厳とは何か・・・まさにこの作品こそ、そのことを見つめざるを得ない境地に導かれていく、稀有な文学だと私は思うのです。
水俣病という公害(1956年公式確認)は、人々の暮らしに凄惨な苦しみと、大きな犠牲をもたらしました。それまでの地元住民のつながりだけでなく、豊かな自然をも奪うものとなっていきました。
この作品は、人間の心と社会のありようを、深く鋭い感性からとらえ、読む者の心を揺さぶります。
今年、これを朗読で味わう企画を立てました。
朗読と並行して、オリジナルの挿絵・方言の意味などを画面に投影し、聴いていただきます。また、朗読後の作品解説では、水俣病資料館・不知火海の風景・作者ゆかりの寺など、取材エピソードも紹介します。
本年6月18日(日)、神言神学院での公演です。よろしければ、お越しください。
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*朗読劇の詳細は、今号「短信」/ 南山常盤会公式HP「恩師の近況」にてご覧ください。
常盤会公式HP「恩師近況」