2025年4月13日
新学期がはじまり、ランドセルの方が大きいようなピカピカの一年生は、通学路にある道路標識をみて、ドキドキしているのではないでしょうか?
調べてみると、
「道路標識は、1950年頃は黄色で八角形だった。第2次世界大戦後に交通事故件数が10倍になってしまったので、標識に工夫が必要になった。当時、黄色の塗料の質がよくなかった。その後赤い塗料の質がよくなってきたので,1960年、アメリカの“止まれ”のマークが赤色になった。1963年に標識の改定があり、円形の標識はそのままに八角形は四角形になった。ただ四角形は、家の形に溶け込みやすく見過ごされやすい。同じ年、西ドイツで、三角形、逆三角形は不安定ながら、強いイメージがあり、遠くから見ても確認しやすい。赤色が一番目立つという研究データが出た。その時に“止まれ”も“徐行”も赤くて三角形になった」とあります。
標識の由来も知らないまま、所轄の名古屋市緑署の警察署長さんからの依頼で、緑地域交通安全活動推進委員(地推委員)をお引き受けして、もう30年余になります。
この委員制度は、平成3年に全国でスタート。都道府県公安委員会が委嘱。地域の交通安全活動のボランティアとして住民の理解を得るため法律上の資格(非常勤特別職の地方公務員)を持っていますが、いまだ認知度は低いのです。
委員の主な活動は、県内交通安全活動一斉大監視の時に、警察署、区役所、安全協会、トラック協会などと合同で、ドライバーや通行人に、交通安全をアピールする啓発物品を配布する立哨(りっしょう)活動です。黄色のジャンパーや帽子を身に着け、“飲酒運転はダメ”などと書かれたサイン板をもって、早朝や、夕暮れ時に交差点に立って
います。地域の危ない箇所を調査したり、登下校の児童の見守りもしたりします。パトカーに乗り区内巡視をすることもありますが、行き交う子どもたちは憧れの目でパトカーにちぎれんばかりの手を振ってくれます。
時には、農協のご協力の下、地元の貴重な徳重大根に「交通事故“大根”絶」と紙を貼り手渡しをします。交差点で車を止められたドライバーは、一瞬ギクッとした表情を見せますが、趣旨が判るとニコニコ顔で、大根を受け取り走り去ります。
「今夜、大根料理を囲み、家族で交通事故防止の話題が食卓に上るといいね。」と私たちは、張り切るのです。でも、背後からは、「街中で、旗を振ったって、事故は減らないよ」という声も聞こえてきます。
時代がどんどん変わっていく中で、数年来、委員の高齢化が進んでいます。他者への温かい思いやりに溢れ、時間など比較的余裕のある高齢者に委嘱が集中するのは、やむをえません。
今春、警視庁赤羽署が東洋大学生2人に地推委員を委嘱したというニュースを知りました。それならば、ここ緑区でも、10代、20代に、学業に支障のない範囲で、地推委員としての行事に参加してもらうことはどうか。若者から柔軟性のある視点や新しい発想と行動力とを得ながら、時には、道路標識の話をしながら、SNS発信したい。老若ともに行動することで、地域の交通安全リーダーとしての広報啓発活動が活発化し、最も大切な交通事故抑止につながってほしいと考えます。
そこで、緑地域交通安全活動推進委員協議会として協議し、愛知県公安委員会に「若年層への委嘱を広げたい」という意見を申し出ることにしました。この返答をお待ちしているところです。
いつかこの流れが全国に広がり、周知されて、「地推委員になりたい」という若年層が増えるよう、この委員活動を魅力ある内容にしていきたいと思っています。
プロフィール
1965年 南山大学経済学部経済学科卒業後、3年間県立熱田高校社会科教諭
総務省行政相談委員 緑地域交通安全活動推進委員を歴任
「Energy・Think ・Together」(EET)メンバー
藍綬褒章・瑞宝双光章 (行政相談功労)受章
「南山常盤会」顧問