vol. 2 ユーコ(G16)「YUKOの気ままな映画感」 – Nanzan Tokiwakai Web
  1. HOME >
  2. メルマガコラム

メルマガコラムMail Magazine Column

過去に配信した「常盤会WEBメルマガ」の記事を掲載しています。

2005年7月1日

vol. 2 ユーコ(G16)「YUKOの気ままな映画感」

地下鉄・杁中駅から乗り込んで来た二人の南山生。 二人ともヘッドフォンを着け、スカートの丈は老婆心から思わず声をかけたくなるほど短かった。「床に膝まずきスカートが床に触っているのが、校則で規定のスカート丈です。」
登校時、指導部の先生の抜き打ち検査に何の疑問も抱かなかった四半世紀前の我らの時代! 南山生の自由奔放な変わり様を目の当たりにするにつけ「時代は変わったのねぇ・・」と「時代の波」を実感するのだが・・・

しかし、時は移ろっても色あせることのないのは映画の名作。梅雨に入り、ミュージカル映画の傑作「雨に唄えば」(1953年公開)が真っ先に頭に浮かんだ。
映画を観たことのない人でも知っているジーン・ケリーが、どしゃ降りの中で唄って踊るシーンは映画史上の名場面のひとつである。「時代の波」が映画を「サイレント」から「トーキー」(恥ずかしいけれど、これがtalkingだったとは最近、知りました)へと変えていく当時の映画界の内幕を題材にした話。

ジーン・ケリーと偶然知り合ったコーラスガールのキャシー。悪声でちょっとおつむの弱い女優リナに代わって吹き替えを受け持つことになり、キャシーの素晴らしい声で公開されたミュージカルは大成功。リナはこのまま吹替え専用に彼女を使うつもりが、キャシーを恋するケリーが吹き替えの内幕を暴き、新しいスター・キャシーの誕生というハッピーエンド。ジーン・ケリー、ドナルド・オコーナー、そしてデビー・レイノルズが、ダンスと唄を存分に見せてくれた一作である。

吹き替えと言えば、デボラ・カー、ナタリー・ウッド、オードリー・ヘップバーンは全て同一人物が吹替えで唄っていた。影のお仕事ぶりへのご褒美だったのだろうか・・・・「サウンド・オブ・ミュージック」では尼さんの一人として出演し見事、自分の声?で唄っている。 実際にサイレント映画の大スターでありながら、悪声と音痴で泣く泣くスクリーンを去った人たちも少なからずあったとか・・・。

ダンスの名手は?と聞かれたら、フレッド・アステアとジーン・ケリーと言っても過言ではない。二人の踊りは正反対。正統派ダンスのフレッド・アステア。繊細かつ優雅な身のこなし、あの永遠に続くのではと思わせるタップの軽快な音、エスコートの何と高貴なこと! 「バンドワゴン」(1953年公開)の中、名曲”Dance in the dark”で踊る彼を見れば、まさしくダンスの神様と呼ばれることに納得する。そしてジーン・ケリーのところ狭しと踊るダイナミックさは次代へのステップだった。振り付けも兼任していたケリーは「錨を上げて」(1954年公開)で、アメリカ人気アニメーション「トムとジェリー」のジェリーと共演? これが高い評価を受けた。

しかし80年代以降、社会も人の動きも加速し、ミュージカル映画の世界で陶酔する余裕が持てなくなったのか、1985年公開の「コーラスライン」でミュージカル映画の幕はいったん、下ろされたような気がする。2002年に公開された久しぶりのミュージカル「シカゴ」はメディアへの風刺ドラマに重きをおき、アカデミー作品賞、助演女優賞等を獲得した。昨年はブロードウェイ・ロングランの正統派ミュージカル「オペラ座の怪人」が完全映画化され、胸を打つ数々の名曲と映画ならではの長所を生かし、舞台では不可能だったオペラ座を再現し、見事に映画ミュージカルを蘇らせるのに成功した。

ミュージカルこそ、まさしくThat’s Entertainment!!! ストーリーはいたって単純明快。唐突な歌から永遠の名曲が生まれ、華やかで美しくダイナミックなダンスシーンがいつの時代も私たちを魅惑の世界に連れて行ってくれる。

♪ I’m singing in the rain・・・・♪梅雨空を仰いで、心晴れやかに唄いませんか?

メルマガコラム一覧