vol. 23 石田 秀翠(S12)「花は文化のバロメーター」 – Nanzan Tokiwakai Web
  1. HOME >
  2. メルマガコラム

メルマガコラムMail Magazine Column

過去に配信した「常盤会WEBメルマガ」の記事を掲載しています。

2007年7月6日

vol. 23 石田 秀翠(S12)「花は文化のバロメーター」

<キッズいけ花>
「伝統文化をこどもたちへ」と文化庁委嘱による「伝統文化こども教室」は2007年で5年目を迎えました。中でも「キッズいけ花教室」が最も多く全国で年間に3000教室が開催され、一クラス30名として9万人余りの子供たち(小学生から中学生)がいけ花を体験しました。いけ花の人気度の理由として次の点が挙げられます。
 
一、 季節の自然を手に触れる。
一、 自然を通して命の大切さを学ぶ。
一、 日本の伝統として四季の節句など行事の由来がわかる。
 
また、設備面でも机と紙パック・ペットボトルなどの花器と小さいハサミだけでよく、創作力や色彩のハーモニーなども学ぶことができます。
 
<青少年への伝統文化の継承>
高等教育においても学問だけの学力競争が見直され、情操教育が論議されています。
第一に、「思いやりの心」、「奉仕の心」。
第二に、自国の伝統文化を学び国際人となること。
第三に、「生命への感謝と尊重の念」を正しく理解すること。
これらは全て「当たり前の常識」ですが現代人の最も欠けている点であり、新聞で毎日のように事件として目立っています。悲しいことです。
中部地区の私学でも、現在4校の大学で「伝統文化演習」と名付けて日本の歴史的な伝統芸術、文化の講座を選択科目に加えています。多くは6ヶ月20回で2単位としています。男子学生、女子学生一体となって「いけ花」を実習している風景は、思ったより熱心で自然に触れていきいきしています。花展見学などでは、観賞レポートを書かせています。高年齢の観客に混ざってジーパン姿の学生達が、作品を写メールしたり花材をメモったり、「すぐに帰るだろう!」と思っていましたが長時間見学していました。ほとんどが初めて花展とやらを見たという生徒ばかりでしたが、自然の造形の神秘さに心打たれたようでした。
 
<中国の大学でもいけ花講座が>
最近、日中友好35周年の文化交流が中国南京市で開催され、いけ花も各流派の団体で「日中友好いけ花の交流展」を開催しました。中国側の参加の中に大学生が15名ほど出品していました。大学のいけ花のクラブ活動で学んだ生徒たちでした。
大学によっては自由選択科目や、南京林業大学などでは2単位の必須科目となっているようです。中国でも今日、自然と環境問題が社会問題となり、いけ花を通じて自然との対話を図るため、いけ花が盛んになってきたと言われています。生活も豊かになり自然の美しさに目をむけ始めたのでしょう。都市の美化、公園の美化運動も進んで来ました。
 
英文科出身の方が急にアメリカで生活することになったので、「短期間」でいけ花を習得したい、アメリカで日本の文化を知らないと恥ずかしいと入門されました。
これからは国際化の時代です。やはり、国際人になるにはまず自国を愛し、自国の文化を認識することは基本的なことでしょう。そして自然への愛、いのちへの感動の伝達はすべての人間としての基本精神なのです。
「野に咲く一輪の花」にどうかゆとりを持って愛を与えてください。
—-あなた自身の為に—-
 
                   華道石田流家元  石田 秀翠
 
 
(石田秀翠さんのプロフィール)
 昭和17年生まれ。昭和40年に23歳の若さで二代目家元・秀翠を襲名し、社団法人石田流華道会を結成。昭和44年、名古屋市東山に石田流本部会館を建設。
昭和53年、新花型「リビングいけばな」を発表。昭和55年に専門学校名古屋いけばな芸術学院(現 専門学校国際いけばな芸術学院名古屋校に改名)設立。
平成3年、地球を守り自然を愛する自然保護団体「ミドリクラブ」を提唱し、発足。
 以来、ダイナミックな個展「いけばな六華仙」「大地をいける」、ステージいけばなショー「モーツアルト好きのためのいけばな講座」「エジプトファンタジー」「いけばなシルクロード」「アジアファンタジー」を開催し話題を集める。
昭和61年都市文化推奨賞。平成2年愛知県知事表彰受賞。平成5年、名古屋市市長表彰賞。 また、アメリカ、フランス、中国、台湾、韓国、シンガポールなどでいけばな展を開催し日本文化を紹介しつつ文化交流に活躍している。
 
華道石田流 家元、社団法人石田流華道会 会長、
石田流国際いけばなアカデミー 理事長、有限会社花企画I&Iフラワー東山 代表

メルマガコラム一覧