2009年4月22日
昨年末からほとんどの時間をドイツで過ごして来ました。3月第3週でもまだどんより暗い空に横なぐりの雪も降っていたドイツから、やっと日本に戻って来たら桜満開でした。ソメイヨシノと青い空を見ると、隣国の脅威などどこ吹く風の日本ののんびり風土を感じてほっとするやら、心配やら。いよいよ4月、新しい年度の始まりです。目標も気持ちも新たにスタートを切りたいものです。
さて、欧州出張の目的は、私の仕事であるソーラーシステムにおける最大の市場の欧州の顧客訪問です。エコバッグ、分別、リサイクル等、やっと我々の日常生活になじんで来ましたが、ドイツでは私が駐在していた1991年に既に全てこれらについて推進していました。今さらながらドイツは*エコンシャスと感服します。又ドイツは2005年から世界一の太陽光市場となりました。日本は元々この市場を作った国であり、’05年以前は世界一の規模を誇っていましたが、暫く規模においては生彩を欠いていると言わざるを得ません。今年から日本政府の補助金が出ることになり、再び活性化が期待できますが、バラクオバマ大統領のグリーンニューディールの誕生で米国が一気に2位になる見込み、後は西、伊、日、中国間で3位を争うというところでしょうか。何だかオリンピックの乗りです。ということで、環境技術については何と言っても断トツ先進国の日本ですが、ソーラーの産業としては、欧州はもちろん、米州にさえ遅れをとりつつある感をぬぐえません。なぜでしょうか。この背景には、環境問題はエネルギー問題と密接に関連しており、エネルギー問題は安全保障問題の一部ですから、国家、政治力の影響力があります。又、ドイツの電力買い取り制度が産業を生んだことは、NHK等でも詳細な報道がありましたので、皆さんご理解の通りですが、それに加えて業界にいて感じ入るのは、ドイツを筆頭に海外は産官学の協力が非常に強いことです。大学をスピンアウトした起業家が多いのも事実ですが、その後も大学との共同研究や、共同ビジネスが盛んです。官も趣味の実験レポートを出すことより、いかに国際競争力を高めるかという点にフォーカスした政策の提案で民の後押しをしております。日本の大学事情はすっかり遠ざかっていますが、どうなんでしょうか。
では日本のソーラー市場には国際競争力はないのでしょうか。そうでもないのですよ。
個人が購入し、自分の家につけるというアプリケーションがメジャーである市場は世界でも特異です。と言いますのも、グローバル市場におけるソーラーは、実は金融商品と同じで、投資対象が中心なのです。従い、我々の仕事も、銀行家みたく、この率で回収できるので、国債に投資されるなら、こちらに投資されてはいかがでしょうかという話をしております結果、リーマン兄弟に今は振り回されている状況にあります。日本は、屋根につけて、家族で今日はこれだけCo2を減らしたと一緒に喜ぶ家庭ベースが基本です。これが本来のソーラーの初心、あるべき姿です。これをきっちり追いかけている日本は、不況に余り左右をされずに実は市場が健全に伸びているのです。
個人的に、4月に新しい仕事を任されました。ぶつぶつ不満を言っていたら、全く場所も時も違って、先輩2名から、ソーラーをやり始めた時の森本さんの初心を思い出して力を出して欲しいと言われました。社会や環境に貢献したくて、ソーラーをやりたくて、会社にお願いしてやっと手にいれた仕事ですのに、手にいれてしまうと、その頃の気持ちを忘れてしまいますね。新しい年度を迎えて初心に返って、仕事をしようと思っている今日この頃です。
*エコンシャス・・・森本の造語です。ボディーコンシャスではなくエココンシャスの大阪弁みたいなものです。
森本 真理 G24 プロフィール:
南山大学外国語学部 英米学科卒
大学卒業後、シャープ(株)に入社。
現在ソーラーシステム事業本部海外営業企画部部長。