vol. 41 神谷 裕之(S17)「男の品格」 – Nanzan Tokiwakai Web
  1. HOME >
  2. メルマガコラム

メルマガコラムMail Magazine Column

過去に配信した「常盤会WEBメルマガ」の記事を掲載しています。

2009年5月18日

vol. 41 神谷 裕之(S17)「男の品格」

今回は、男の品格のお話をしたいと思います。
私は、昭和44年にアパレル会社に入社し、男性の洋服の品格づくりを続けて40年になります。
品格には、勿論、中身のハートの問題と、その体に身につける洋服づくりがあります。
「品」はその人が持って生まれたものですが、「格」をつけることで、意志、志がプラスされます。 また、「品」は形がなく、空気みたいなもの。 
それに対して「格」は、人格、性格などという言葉からも分かるように、しっかり身についた固まったものを指すのだと思います。
私が、ロンドンのサビルローで、洋服技術と英会話の習得に、悪戦苦闘して苦しんでいるとき、父から一通の手紙がきました。
その手紙に一言、こう書いてありました。 「己を知るを賢者という。 志を持て!!」と。
まずは自分を知るということが大切であり、志を持って一つのことをやろうとすると、
自分を鍛えざるをえず、おのずと品格が生まれてくると思います。
 
私も英国生活が長かったものですから、タクシーに乗っても、パブでギネスビールを注文しても、レストランで食事をしていても、いつも「サンキュッ」という感謝の言葉を使い続け、自然に出てくる様になりました。
帰国してからも今までずっと言っています。 
 
つまり、品格とは何より欲を自分で抑えられることである。
人間、誰でもお金持ちになりたいし、出世もしたい。
だが、そうした欲を身の丈に合ったレベルに制御する。
人が見ていようが、見てなかろうが、スタンスを変えず、うそをつかない、ずるいことをしないことである。
欲望をコントロールする節度と、正々堂々の武士道の精神。
ここから、本当の品格は、自然とにじみ出てくると思います。
 
次に品格ある洋服づくりについてお話しします。
一見スイスイ泳いでいるように見えるアヒルも、水面下では一生懸命水をかいている。
見えないところで努力しているんです。
大変な部分は人には見せない。つまり、上衣のラペルのハ刺(はざし)、肩入れ、芯据え等は、表地には見えない部分なんです。既製服やイージーオーダーの何倍もの時間をかけて一針一針誠意を込めて縫っていくんです。 男の品格をあげる洋服づくりに日々努力しています。
 
さて、私の長男、神谷昭一郎が中部経済新聞で、第一、第三土曜日に「世界的著名人から学ぶスーツスタイル」というタイトルで記事を掲載していますので、是非お読み下さい。
 
 
神谷 裕之 S17 プロフィール:
 
立教大学経済卒
オンワード樫山、ロンドンの紳士服店キルガー社のチーフカッター、西武百貨店顧問
デザイナーなどを経て90年テーラー神谷を経営する神谷ガーメント社長に就任。
2004年にはNHK総合テレビ「オーダーメイド」に出演し技術指導、衣装制作も担当。
また社長業のかたわら、名古屋商工会議所、青年会議所、ロータリークラブなどでの
講演も多い。

メルマガコラム一覧