vol. 78 平松 潤一郎(S20)「趣味に生きる」 – Nanzan Tokiwakai Web
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2013年3月20日

vol. 78 平松 潤一郎(S20)「趣味に生きる」

 丁度3年前、還暦を迎えた時、私は周りの人達に、「仕事は二人の息子たちに任せ、
自分は趣味に生きる」と宣言した。しかし家内を始め皆が口を揃え、
「あなたほど欲しいものは全て手に入れ、行きたい所はどこにでも行き、人生を
楽しんでいる人は先ずいない」とブーイングの嵐。リーマンショックの後の、経済的に
大変な時に社長の席を投げ出すのも風当たりが強かったので、今は社長業と趣味の
両立を計り多忙な日々を送っている。

 我社は、オリエンタルビル株式会社と言って、不動産の賃貸業だ。オリエンタル中村
百貨店と言えば、高齢の人にはすぐ分かるのが、栄にある名古屋三越の建物だ。
今春には耐震工事と、それに合わせたリニューアルが終了、より一層安全で魅力的な
店になる。
 屋上は、賃貸せずに当社が運営をしており、国の有形文化財に指定された観覧車や、
オリエンタル中村百貨店のマスコットだったカンガルーの像が設置してあるので、
南山の同窓の方にもぜひ足を運んで頂きたい。
 さらに10階屋上の部分には昨秋まで駅前大名古屋ビルヂングの屋上にあって、人気を
博していたビヤガーデン「マイアミ」が、6月位にはオープンする。又、ラシックも
地権者の一員として事業に参画、オリエンタルビルの権利床は全て三越に賃貸して
いる。ラシック8階のイタリア料理「麻布ダノイ」と、名東区極楽にある
「リストランテ・エスト」の2軒は直営店だ。元気な名駅に負けないよう、栄地区の
一員としてこれからも頑張って行きたい。

 ゴルフやカラオケなどは全く駄目だが、趣味は多く仕事よりも趣味に忙殺される
毎日だ。車(フェラーリ)、写真、旅行、美術品やアンティーク玩具の蒐集、日本
庭園の手入れ、そして散歩(錦が中心だが‥‥)等。昨年3月鈴鹿サーキットで
開催されたフェラーリ・レーシング・ディズには、各地から500台余りのフェラーリが
集まった。そのメインイベントのコンクール・デレガンスでは、私の50年前の
フェラーリ、がベスト・オブ・ショーを獲得した。12月には、京都三十三間堂前の
国立博物館でフェラーリのイベント「ロッソ・ロッソ展」が行われ、私はフェラーリ社
の創業者エンツォ・フェラーリにスポットをあて、「生涯勝利を求めた男」のテーマの
元、私のコレクションのうち1920年代から’60年代に至る数多くのアーカイブを
展示した。

 ここで一寸、フェラーリの魅力について述べたい。フェラーリ社は1947年
故エンツォ・フェラーリ(1899?1988)によって設立され、高性能で高価な
スポーツカーを、年間7千台前後造る会社である。イタリア中部の街モデナ郊外の
小さな町マラネッロに位置し、世界でも最も小さな自動車メーカーの一つだが、
F1のレースの世界では、数十年の間一度も休むことなく参戦を続けている。
フェラーリの名声や人気が、どのように確立されたかを考えてみると、そこには
3つのキーワード『先進の技術とデザイン』『タイムレスとバリュー』『継続と挑戦』
がある。
 『先進の技術とデザイン』とは、フェラーリほど少量生産のメーカーでありながら、
各種のエンジンや全く違ったデザインをまとった車を造ってきたメーカーは、他には
ない。形ではないフェラーリというブランドイメージが強く確立され、一方、車自体は
時代と共に進化している。
 又、『タイムレスとバリュー』とは、フェラーリには、時代を超えた美しさがあり、
10年前20年前30年前のフェラーリでも、常に新鮮で美しさを感じる。車という
道具ではなく芸術の領域に入っている。さらに古くなれば古いほど、バリューが上がる
のもフェラーリだけのものだ。
 最後の『継続と挑戦』とは、レースカーを造りそして勝つ為にスポーツカーの生産を
始めたフェラーリは、F1の世界においても、現時点で849回の連続参戦、219回の
勝利と、他のチームを圧倒している。我国のトヨタやホンダは、すでにF1の世界から
撤退してしまったが、他のメーカーに無いこの『継続と挑戦』と言う姿勢が、
フェラーリの魅力をより一層高めている。

 写真は、今でも古い一眼レフのカメラと35mmのフイルムを使い、撮り続けている。
地元のタウン誌「月間なごや」では、「ヨーロッパの街角」のタイトルで10年近く
写真を連載している。手前味噌だが今年のカレンダー「2013・ベネチア」も大変
好評で、印刷した2000部以上をすべて配り終えた。旅行も昨年はヨーロッパ5回、
アメリカ・香港各1回と7回の海外旅行を楽しんだ。

 「趣味」は、情熱・時間・お金・そして空間の、四つの要素で支えられているが、
物心がついた頃からの自分の人生を振り返ってみると、どれ一つ欠ける事無く最近まで
来た。しかし60歳を過ぎてからは、自分に残された時間と体力の限界を感じるように
なった。これからは南山で学んだように、「精神的な豊かさ」を求めて生きたい。

プロフィール

平松 潤一郎

1949年 愛知県清須に生まれる
1972年 南山中・高校を経、南山大学経済学部卒業
現在  オリエンタルビル株式会社 取締役社長
栄地下センター株式会社 監査役
緑ヶ丘カンツリークラグ 理事 等
家族  妻・直美 南山大学卒
息子二人は共に男子部卒
孫5人と91歳の高齢の母、そして元気な猫2匹と余命幾許かの猫1匹

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