2013年6月26日
まるで、サーカスから抜け出してきたようなクラウン(道化師)が病棟に出没。入院されている患者さんはもちろんのこと、ナースやドクターをはじめとする病院スタッフにまでいたずらをしちゃいます! キスマークのシールをこっそり背中に貼られたドクター、点滴を運んでいる時にマスクの上から赤鼻を着けられて、「かわいい?」と満更でもない若いナース。廊下には、先程クラウンが訪問したお部屋の子どもたちがバルーンのお花や剣を持ってクラウンにちょっかいをかけてきます。
小児病棟のプレイルームでは数匹のクラウンたちがなにやらショウを始めています。
ウソくさいマジックから華麗なジャグリング、思わず笑いが出ちゃうコメディーパントマイム、そして細長い風船をキュッキュッとひねってヤシの木とそれを登るお猿さんが出来ちゃいました。これはまたナースセンターに飾られるのでしょう。
◇
これはわたしが主宰する「ボッチ☆アダムスと愉快な仲間達」のいつもの活動風景です。
八事日赤の小児と産科病棟及び母体集中治療室、聖霊病院のホスピス、整形外科、小児の3病棟を順番に週一回訪問しています。
ケアリングクラウンとは、CLOWNの持つ道化性と非日常性を使い、心身にケアが必要な方々の所に出向き、ユーモアと優しさでその方達と豊かな時間を創り出す道化師のことです。 1970年代にアメリカ人の医師、ハンター・アダムス氏が「医療に愛とユーモアを!」を提唱し活動を始めたのが始まりで、映画「パッチ・アダムス」として映画化もされました。
その後アダムス氏は「国境無き道化師団」を作り、アフガニスタンなど、戦災や災害などで苦しむ人々の元へも精力的に出かけています。
◇
わたしは保健の「心身相関」の単元で、大好きなこの映画の数シーンを使っていました。
2005年、愛知万博の関連で世界クラウンキャンプが瀬戸市で開催され、迷うことなく参加! 数ある分科会の中でもケアリングクラウンを集中的に受講しました。
そして、万博の会場で全世界から集まった200匹のクラウンと共に参加した「クラウンフェスティバル」がボッチ☆アダムスの誕生の瞬間になりました。
その後、名古屋にあるクラウンのスタジオで養成講座を受け、また聖霊病院ではホスピスボランティアの講習を受け今に至っています。
◇
クラウンとして命の現場に入り笑いあふれる豊かな時間を創り出していく。
ホスピスの患者さんから「ありがとう」と痩せた手で握手を求められます。
その手からまた大いなる力を感じ、「人間の尊厳のために」働けるエネルギーをいただいています。
先日、医療系進学に悩む生徒が見学に来てくれました。わたしは生徒に赤鼻を着けて可愛い帽子をかぶせ、ボッチのアシスタントとして共にベッドサイドをまわり患者さんと触れ合ってもらいました。わたしが何も語らずとも多くのことを感じてくれたようで、医師の道をもう迷うことなく目指しています。それも産婦人科。新しい命に関わりたいと願っていました。
また昨年から顧問に就いた奇術部では精力的に部員を福祉施設に出向くようにさせています。そんな活動をどこから知ったのか、朝日新聞が「文化部物語」という特集で取材してくださり5月17日に掲載されました。この夏には名古屋市博物館の夏休み企画「マジックの時間」に協力したり、8月27日には県警の「子ども安全アカデミー」の防犯劇の中でイリュージョンを披露する機会もいただけました。
部員達は「俺達は毎週、福祉体験や職業体験をしているようなもんだなぁ。」と満更でもない様子で笑っています。
中谷豊実(なかたに とよみ)プロフィール
昭和36年11月 愛知県知多市生まれ 51歳
昭和56年3月 陸上自衛隊を除隊 最終所属部隊「第十師団 第10特科連隊」
昭和60年3月 中京大学体育学部健康教育学科卒業
昭和62年4月 南山高等学校中学校専任教諭(保健体育科)採用
教員として勤務する傍ら、ケアリングクラウン(癒しの道化師)チームの団長として病院や施設を定期慰問したり、養護施設の子ども達とアーティストを結ぶイベント「KIP」を企画実施するなどボランティア活動を旺盛に展開している。また、愛知県下の中学校・高校で「愛と恋のちがい」や「男子の性」についてなど、また小学校の保護者向けにも「さわやか性教育」と題し性発達への寄り添い方など、幅広い対象に「豊かで健康な性」を柱とした講演活動も行っている。
愛知私学性教育研究会の主任として2002年と2009年の二回にわたり全国最大規模の「高校生の性に関する調査」を実施。リアルな高校生の性の現状と課題を分析しつつ、新たな性教育のアプローチを模索している。
NPO:アジアの性虐待と貧しさに苦しむ子ども達を救う会(CASPAR)名古屋支部長(平成6年~平成20年)、愛知私学性教育研究会主任(平成13年現在)、
ケアリングクラウンチーム(病棟道化師)「ボッチ☆アダムスと愉快な仲間達」団長
(平成18年現在)、ホスピス聖霊後援会呼びかけ人(平成20年現在)、養護施設の子ども達とアーティストを結ぶイベント「KIP」主宰(平成22年現在)、
NPO:PROUD LIFE理事(平成23年?現在)、愛知・思春期研究会共同代表(平成23年現在)